こんにちは、仲町歯科医院 副院長の義永昌也です。
「むし歯の治療前に歯の掃除が必要だと言われた」「早く被せ物して直してくれればいいのに…歯周病が先だと言われた」という経験はあるでしょうか。
患者さんの意見や疑問点としてよく聞く内容です。当院でも「むし歯の治療前に何回も通院してもらう」場合があります。この理由や意図について、解説していきます。
理由1. お口全体の環境を改善した後でないと、クオリティの高い むし歯治療が出来ない
キッチンで料理をする状況を考えてみましょう。作業場所が雑然としている状況だと、美味しい料理を作るのは難しく、場合によっては異物が混入してしまいます。料理の前にまずやることは「掃除・片付け」といった環境の改善ではないでしょうか。
歯の治療に関しても同様の事が言えます。
歯の表面の清掃状態も大事ですが、特に歯肉の状態が重要です。
具体例を挙げると、部分的な詰め物(コンポジットレジン充填)の際、隣の歯にくっつかないように歯と歯の間に薄い器具を入れるのですが、
歯肉から出血するような状態(歯肉炎)であると、材料に血の色が滲んでしまったり、歯と材料の接着不良で外れやすくなったりします。
被せ物の型採りの際も、歯肉が出血すると適合(精密さ)が悪くなります。
歯垢のない状態を一定期間 維持することで歯肉の状態は改善し(1~2週間必要だと言われています)、それが質の高い歯科治療に繋がります。
理由2. 原因を改善しないと再発する
むし歯治療を受ける前に、なぜむし歯になったのかを考える必要があります。
多くの場合、歯磨きが不十分だったり糖の頻繁な摂取をするによって細菌が繁殖し、結果としてむし歯となっています。
〝むし歯になった原因〟を改善しないままむし歯治療を行っても、根本的な解決にはなりません。
(イラストは水道から溢れる水と、水を止めずに床を拭いている人を表しています。いくら拭くことを頑張っても、水を止めなければ意味がありません。まずやるべきなのは床を拭き上げることではなく、水を止めることです。)
詰め物や被せ物をすることで一時的には見た目が改善したり、気にならなくなる可能性はあります。しかし、原因を改善しないかぎり、治療をしても再度むし歯になっていくのです。
むし歯の再発・治療の繰り返しとならないために、むし歯治療前の原因除去を重視しています。
具体的に何をする?
患者さんに応じて様々な内容がありますが、主な3つを紹介します。
1. 歯磨きのやり方の改善(ブラッシング指導)
キレイに磨けてる と一見思えても、歯垢が残っている場合が多いです。
磨けていない部位を染め出し、そこを重点的にお伝えしています。
また、使用している歯ブラシや患者さんに応じて、歯磨きのやり方をお伝えしていきます。
2. 歯石の除去
歯石は歯ブラシでは取ることができません。歯科医師や歯科衛生士が専用器具を使って除去していきます。
3. むし歯や歯周病になる原因の説明
主に甘いもの(お菓子・飲料)の取り方の習慣が、むし歯や歯周病の原因になります。
患者さんに聞き取りを行い、改善できる習慣があれば お伝えをしていきます。
まとめ
・むし歯治療の質を上げるために、むし歯治療前にブラッシング指導などが必要になってきます。
・炎症のある歯肉を改善させるには、少なくとも1-2週間の期間が必要だと言われています。
・むし歯や歯周病は日頃の生活習慣(歯磨き、甘いものなど)によって起きており、原因がはっきりしています。何度でも再発するため、原因の改善が重要です。
・歯を削ると元には戻りません。削る治療が必要ないようにケアをすることが大事です。
・もし治療が必要になった場合は、再治療にならないように質の高い治療をおこない、維持していくことが重要です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
↓以下の記事が関連する内容なので、参考にしていただければ幸いです。
・むし歯を0にする(削る治療をする)よりも大事なこと
・歯のクリーニングだけで予防ができる??