1450ppmの歯磨剤一覧

歯科医が伝える 歯磨剤(歯磨き粉)を選ぶポイント・正しい使い方

こんにちは、仲町歯科医院の義永昌也です。
今回は歯磨剤(はみがき剤、歯磨き粉とも言います)について、歯科医師の立場から選ぶ基準や正しい使い方をお伝えしていきます。
ドラッグストアなどで何気なく購入し毎日使用している方も多いと思いますが、歯を健康に保つために重要な”ポイント”があります。
(個人的見解を含みますが、2023年1月に発表された「4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」に沿ってお伝えします。)


ポイント1. フッ素濃度が1,450ppmの物を選びましょう(6歳以上の場合)

フッ素は①歯が溶けにくくなる(耐酸性の向上)②歯を強くする(再石灰化の促進)③菌を弱らせる(酸産生の抑制)という機序でむし歯予防に効果があり、日本で販売されている多くの歯磨剤に配合されています。
しかしながら、フッ素が配合されていても低濃度の場合もあり、低濃度であるとむし歯予防の効果が弱くなってしまうと言われています。
日本で販売されている商品のうち、最も高い濃度が1,450ppmであるため、6歳以上であればこれを使いましょう。
(日本では1,500ppmを超える商品を販売することが出来ないため、1450と中途半端な数字となっています。)
フッ化物濃度による違い
The evidence base for professional and self-care prevention – caries, erosion and sensitivity (Svante Twetman, 2015)より引用
画像はフッ素濃度(横軸)とむし歯予防効果(縦軸)についてのグラフです。濃度が高いほど効果が大きく、500ppm濃度が高くなる毎に約6%予防効果が高まると言われています。

むし歯予防効果を最大限高めるためには「高濃度フッ素配合」または「1,450ppm」と表記されている物を選びましょう。高濃度(1,450ppm)の場合、表記が義務付けられており、商品によっては裏に小さく書かれているものもあります。
濃度について表記の無い商品は、低濃度または無配合であるため、むし歯予防効果をしっかり実感したいのであればあまりオススメできません。

1450ppmの歯磨剤一覧

1450ppmの歯磨剤一覧(2024年7月時点)

高濃度フッ素配合(1,450ppm)である歯磨剤を一覧にしています。選ぶ際の参考にして下さい。

歯磨剤リスト

1,000ppm未満の歯磨剤の一例


ポイント2. 使用感(味・性状)が好みの物を選びましょう

歯磨きが終わり、吐き出した後はうがいをしないほうがむし歯予防に効果があると言われていますゆすぐ場合は少量の水で1回のみ
うがいをしないことで唾液中のフッ素濃度を高く保つことができるのが理由です。
Salivary fluoride concentration following toothbrushing with and without rinsing: a randomised controlled trial (Marwah M Albahrani, 2022) など
歯磨き後のうがいの回数を無くす あるいは減らすには、自分の好みに合った味・香りの歯磨剤を選ぶことが必要になります。
また、歯磨剤は大きく分けて「ペーストタイプ」「ジェルタイプ」の2つの性状に分かれますが、その選択も重要です。

ペーストタイプ

  • 発泡剤や研磨剤が含まれていて、泡立ちが良い物が多い
  • 磨いた後のスッキリ感がある物が多い
  • 歯磨き後、うがいをしたくなる人も多い

ジェルタイプ

  • 基本的に発泡剤が使われていないため、泡立ちにくい
  • 歯磨き後のスッキリ感はペーストタイプに比べ少ない
  • 歯磨きの後、うがいをせずとも違和感は少ない

自分自身はペーストタイプを使用した後でもうがいをしません。(最初は抵抗があった覚えがありますが、今は全く平気です)
うがいをしたくなる人は、ジェルタイプを試してみるのも一つでしょう
それでも、どうしても歯磨き後にうがいをしたいという人は、「ダブルブラッシング法」という方法がオススメです。

ダブルブラッシング法…1回目(ファーストブラッシング)は歯磨剤をつける、またはつけずにブラッシングし、十分に洗口する
つぎに、2回目(セカンドブラッシング)は歯ブラシにフッ化物配合歯磨剤をつけて歯に延ばすように広げてから少なめの水で1回だけ洗口する。

ポイント3. その他の成分はあまり重要では無い

歯磨剤によっては「〇〇の成分が入っていて、歯周病に効果があります」と書かれているものがありますが、フッ化物のむし歯予防効果と同程度に歯周病に効果のある成分はありません。
(クロルヘキシジンという成分が歯肉炎に若干の効果があるとされていますが、歯の着色などの理由から日本では濃度が厳しく制限されています。)
歯周病予防に関しては”ブラシの当て方・動かし方
“が最重要であり、歯磨剤の成分の効果は小さいと思っています。
一方で、知覚過敏や審美(歯の白さ)に関しては、効果がある気がします。好みに合った物を選ぶのが良いでしょう。
いずれにしても、むし歯予防の観点からフッ化物の濃度を優先に選択して欲しいです。

ポイント4. 使い方

歯磨剤の使い方で気をつけて欲しいのは3点です。


  1. 6歳以上は歯ブラシ全体(1.5cm~2cm)に歯磨剤をつけましょう。
    歯が生えてから2歳までは1~2mm程度、3~5歳は5mm程度が基準です。下の画像を参考にして下さい。
  2. 濃度(ポイント1でも記述)
    5歳までは950ppm、6歳以上は1,450ppmの濃度を物を使いましょう
  3. うがいの仕方(ポイント2で記述)
    うがいは必要ありません。したい場合は、少量の水で1回程度にしましょう。

歯磨剤の利用方法
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考
PDFリンク→フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法(4学会合同のガイドライン)
ブログ:歯磨き剤の推奨濃度が変更になりました!
The evidence base for professional and self-care prevention – caries, erosion and sensitivity
Salivary fluoride concentration following toothbrushing with and without rinsing: a randomised controlled trial (Marwah M Albahrani, 2022) 

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